そもそも病とは何でしょうか?

分かっているようで分かりにくい問題です。
特に精神科疾患、いわゆる心の病ではそういえるでしょう。
「なんとなく気分がすぐれない」
「会社へ行こうとすると頭が痛くなる」
「朝早く起きて寝た気がしない」など
の不調がおこることは良くあることだと思われます。
しかしこのような不調がおきた時にそれが心の病なのか、
一時的な体調の乱れなのかの判断は難しいと思われます。

心の病なのか、病院にかかったほうが良いのかどうかの判断はどうすればいいのでしょうか。
また、現在通院している患者さんからも「私は病気なんですか?」と聞かれることも時々あります。
「病気かどうか」「病院にかかったほうがいいのかどうか」についてはこのように考えてみてはいかがでしょう。

・何らかの問題があり、
・それが日常生活を送る上で大きな支障となっていて、
・自分なりに解決しようと試行錯誤しても良くならず問題が続く時
・まずは病気の可能性があると考え、専門家の診察を受け判断を仰いでみてはいかが。

ということになります。たとえば会社へ行こうとすると頭が痛くなり、
頭痛薬を薬局で買ってのんでも良くならず、
無理無理会社へ行っているがどんどんと気持ちが辛くなり、
何をする気にもなれず、八方ふさがりになった時などでしょうか。


心の病(精神疾患)を簡単に定義すると以下のようなものになるのではないでしょうか。

主たる問題が精神的なものであり、
それによって
・心の問題(落ち込み、不安など)がでたり、
・体の問題(動悸、息苦しさ、めまい感、吐き気、食欲不振など)がでたり、
・行動の問題(人とうまく付き合えない、学校や会社へ行けないなど)がでたりして、
日常生活を送る上で大きな支障が生じ
長く持続する状態。

心の病だからといって表に出る顔(症状)が心の症状とは限りません。
動悸、発汗、ほてり、食欲不振、過食、不眠、めまいなどなど、
極論すればあらゆる症状が精神的な問題から出現する可能性があると言えます。
体の不調などで内科などを受診したけれども大きな異常はないといわれた時、
その原因として心の病の可能性があることを知っておいてください。


なお上の定義は精神科疾患の定義としてはかなり狭いものです。
実際には原因として脳などの器質性変化による認知症(痴呆)、てんかんなども精神疾患に含まれます。